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資金調達には、銀行や公的機関から借りたり、投資家などを募ったりする方法があります。
銀行や公的機関から資金調達を行うには、窓口で直接相談すれば良いのですが、では投資家はどうやって探せば良いのでしょうか?
特にベンチャー企業・スタートアップであれば、新規事業への出資に意欲的な個人投資家(エンジェル投資家)とのつながりは、ぜひ作っておきたいところです。
企業と個人投資家のマッチングにはどのような方法があるのか、おすすめのサービスと併せて紹介します。

起業家と投資家をマッチングして資金調達!

資金調達のマッチングによる投資家の探し方

個人投資家とのコネクションを作るには、以下のような方法があります。

セミナーや相談会などのイベントに参加する

起業や資金調達に関するセミナー・相談会などのイベントへの参加は、経営や集客についてのノウハウを学べるだけではありません。
投資家と直接あるいは間接的なつながりを作るきっかけとしても有益です。
セミナー講師や参加者の誰かが、エンジェル投資家という可能性は少なくありません。
意外と身近なところに投資家との接点があるので、自分からどんどん声をかけて知り合いを増やすのが人脈を広げるためのポイントです。

起業家同士や異業種間の交流会でも、業界の動向など有益な情報が手に入り、広く人脈を作ることができるので、積極的に参加しましょう。
特に、自治体や起業支援団体が主催しているイベントには幅広い層の参加者が集まり、人脈作りには最適です。
他にも、ピッチコンテスト(プレゼンを競うイベント)やビジネスコンテストに参加すると、投資家の注目を集められるのに加え、上位入賞で賞金や支援を獲得することができます。

このように対面で投資家と知り合える場は、起業家の人柄・資質を印象的にアピールするチャンスです。
起業家の情熱に感化されて出資を決める投資家もいるほど、対面によるPR効果はインパクトがあります。
限られた時間で、明確なビジョンと事業への情熱が伝わるような効果的なプレゼンできるように、イベント参加前にイメージ練習をしておくと良いでしょう。

マッチングサイトを利用する

投資家と企業をつなぐWEBサービスである「マッチングサイト」なら、場所を問わず効率的に投資家を探し出せます。
多忙なときに、空き時間を利用して素早く情報を集められるのも利点です。
マッチングサイトの形態には、無料で気軽に利用できる掲示板や、有料会員制で質の高いコミュニティなどがあります。

WEBで出資者を募るサービスとして「クラウドファンディング」が有名ですが、厳密にはマッチングサイトと異なります。
クラウドファンディングは、不特定多数の幅広い出資者を募ることができるサービスです。
自分で目標調達額を設定して事業のPRを行いますが、その結果十分な出資者と資金が集まらなければ、プロジェクト失敗となってしまいます。
失敗してもほとんどリスクはありませんが、目標達成まで時間がかかるのが難点です。
クラウドファンディングは不特定多数に響くPRでなければ効果は薄く、その方法に多くの起業家が悩んでいます。

エンジェル投資家に出資してもらう場合、投資家は十分に納得さえすれば、直ちにまとまった資金を提供してくれます。
クラウドファンディングとは異なり、特定の投資家に集中してアプローチすれば良いので、その分ツボを押さえた効果的なPRができます。

マッチングサイトに限らず、FacebookなどのSNSでも投資家が見つかることがあるので、常に広くアンテナを張っておきましょう。
SNSで事業に関する情報を発信したり、交流を深めたりすることで、意外なところから資金調達のチャンスが巡ってくるかもしれません。

投資家に直接コンタクトを取る

身近なところでエンジェル投資家とのコネクションを作る以外に、全国的・世界的に有名な投資家に直接コンタクトを取る方法もあります。
有名なエンジェル投資家の中には、有名企業の創業者であるとか、投機で一躍成功した人物もいます。
日本で有名な投資家としては、例えば以下の人物が挙げられます。

  • 島田亨(実業家、元楽天株式会社社長)
  • 孫 泰藏(実業家、投資家)
  • 佐々木正(元シャープ副社長)

有名な投資家の目に留まるには、よほど斬新で魅力的なプランを提示しなければ難しいでしょう。
しかし、事業のスケールを問わず、「問題解決意識や変化への柔軟性が高いかどうか?」といった、起業家の資質を重視する投資家もいます。
リターンばかりに捕らわれない投資家も存在するところが、VC(ベンチャーキャピタル)との大きな違いであり、起業家にとっての希望となります。
規模は小さくても、「必ず社会に貢献できる」という自信を強く持った起業家なら、臆せずアプローチする価値はあるでしょう。

経営者や投資家以外に、スポーツ選手やミュージシャン、俳優といった有名人・業界人も、出資に協力してくれる可能性があります。
自社の業界に関係する有名人や同業者に対しても、幅広く声をかけてみましょう。

投資家や有名人に直接コンタクトを取るには、まず連絡したい人物の名前をリストアップしましょう。
「尊敬できる経営者か?」「目指すものに共感できるか?」といった基準で選ぶと、自然に熱意が伝わるアプローチができます。

リストアップする人数の目安としては、少なくとも100人は候補に挙げたいところです。
特に、多忙な有名人が対応できる相手は限られており、反応が返ってくる確率はごくわずかです。
1件のマッチングを獲得するだけでも、100人を超える投資家にコンタクトを取るくらいの覚悟は必要です。

メールを送る際は、熱意を伝えるために長々とした文章を書くと、多忙な相手にとっては負担になってしまいます。
簡潔で読みやすい文面の中で、どうやって情熱やインパクトを伝えられるかが、重要なポイントです。

また、投資家ごとに「投資したくなるような企業・人物像」は違うので、事前にリサーチをしておきましょう。
ターゲットにしている人のSNSや雑誌・新聞などに開催されているインタビュー記事を読むと、その投資家の価値観や出資を決める際の基準が分かります。
手間を惜しまず一人ひとりのツボに合わせることで、相手の心に響くメールが書けるようになります。

有名な投資家とのつながりを作ると、そこからさらに投資家同士の人脈が広がっていきます。
投資家同士のネットワークが広がると、さらなる資金や経営に関するノウハウ、業界の最新情報などが、どんどん集まってきます。
出資額ばかりに捕らわれず、投資家自身の能力や人脈にも注目すると、長期的なメリットが享受できます。

資金調達マッチングサイトの使い方は?

マッチングサイトは、セミナーや相談会といった対面でのマッチングとは違い、以下のようなメリットがあります。

  • 全国のエンジェル投資家を対象に幅広くアピールできる
  • 時間をかけて投資家を選べるので、失敗が少ない
  • 対面時間の制限がなく、文面で詳細なPRができる

上記のメリットを活かしマッチングサイトを賢く利用すれば、マッチングから数日でスピーディーに資金調達ができます。
マッチングサイトには無料サイトと有料サイトがありますが、まずはそれぞれの特徴や使い分け方を知っておきましょう。

無料サイトの特徴は?

無料マッチングサイトは、登録料がかからない気軽さがメリットです。
サイトによっては、無料プランと有料プランのいずれかを選択できる場合もあります。
無料プランは投資家へのメッセージ送信といった機能が制限されていることがあるので、注意しましょう。

無料サイトは、その手軽さゆえに会員が多く集まり、アプローチできる相手の幅が広がります。
しかし、誰でも登録できるサービスには、悪質な会員が紛れ込んでいることが多いため、慎重な見極めが必要です。

有料サイトの特徴は?

登録時に費用はかかりますが、質の高い会員だけが集まってくるので、安心して利用できます。
その分、無料サイトより会員数は少なくなりますが、信用度の高い投資家だけに絞って探せるので、手間がかかりません。
ただし、なかなかマッチング相手が決まらなければ、費用が割高になってしまう欠点はあります。

有料サイトの料金プランには、主に以下のようなタイプがあります。

定額課金制

マッチングの成否に関わらず、月・年など一定の期間ごとに、定額の費用を請求されます。
月額料金の場合は月5,000~9,000円、半年以上の長期プランなら数万円の費用が目安です。
長期プランになるほど料金が割安になる他、初回割引キャンペーンの対象になるサイトもあるのでおすすめです。
有料サイトでも、期間限定で無料キャンペーンを開催していることがあるので、見逃さないようにしましょう。

有料プランにも、利用できる機能に応じて複数種類のプランから選べるサイトがあります。
例えば、上位グレードのプランであれば、メールが無制限に送れるといったものがあります。
このようなプランは利用料が高くなりますが、それだけマッチングの成功率が上がります。

成果報酬プラン

投資家とのマッチングが決まった場合のみ、投資額の数%を手数料として支払うプランです。
成約するまでは費用が請求されないので、負担を気にせずじっくりと投資家を探せるのがメリットです。
投資額に応じて、料率が変動する場合があります。

投資家の探し方は?

マッチングサイトでは、以下の手順で投資家と知り合うことができます。

  1. サイトに会員登録し、自己紹介や事業計画、進捗状況といった情報を掲載する。

  2. 地域や年代、投資可能金額、フリーワードなどから、投資家を検索する。

  3. 検索結果から投資家の経歴や自己PRをチェックする。

  4. コンタクトを取る相手を決め、メッセージを送る。

  5. 相手から返信が来たら、メッセージや電話で交渉を行い、面談の段取りなどを決める。

  6. 打ち合わせで交渉が成立したら、投資家から企業へ出資が実行される。

マッチングサイトを利用するときの注意点は?

マッチングサイトの選び方や投資家との交渉において、注意しなければならないポイントをいくつか説明します。

料金とサポートの兼ね合いを考慮する

サイト選びの際に、料金の安さを取るか、サポートの充実度を取るかで、合うサービスは違ってきます。
利用料金が高めに設定されているサービスは、投資家と起業家の間で交渉を調整するなど、質の高いサポートを提供しています。
特に、投資家との交渉に不慣れな新米起業家なら、料金が高くてもサービスの充実度を重視したほうが、マッチングの成功率は高くなるでしょう。

安全なサイトかどうかをチェックする

信頼できる投資家を見つけるには、まずサイト自体の質を見極めることが重要です。
登録時に審査を行っているサービスや、サイト内のパトロール等で管理を徹底しているサービスなら、失敗するリスクは少ないでしょう。
また、運営会社の設立から長い年数が経過しているサービスほど、信頼度が高いと判断できます。
会社概要から運営会社の所在地が実在するか調査を行い、画像で検索避けをしていないかどうかも、チェックしましょう。

いきなり月額制サイトに登録しない

まず、マッチングサイトがどういうものかを知るには、月額料金が発生しない成果報酬プランのサイトに登録するのがおすすめです。
月額プランでは、マッチングが成立してもしなくても料金がかかるため、サービスに慣れるまでは無駄なコストになる可能性があります。

投資家のニーズを正確に掴む

エンジェル投資家という括り自体、VCとは違った性格がありますが、さらに投資家一人ひとりが重視するポイントも異なります。
例えば、多少リスクを取ってでも大きなリターンが欲しいのか、安全確実に成長を望むのか、といった点で要望が違ってきます。
事業の優位性や成長性をPRするのはもちろんですが、投資家が求める展望とマッチしていなければ意味がありません。
自社のPRを一方的にまくしたてるのではなく、投資家の要望も汲んで、交渉を調整していきましょう。

おすすめのマッチングサイト紹介

投資家の登録数が多いサイトや、充実したサポートが魅力のサイトなど、口コミで評判のマッチングサイトを紹介します。

資金調達マッチング

運営会社 株式会社アドポス
設立 2014年5月1日
会員数 不明
利用プラン 定額課金制

資金調達マッチングでは、投資家が保証デポジット(預り金)を登録時に支払うシステムになっているなっていますので、投資に対して本気の会員だけが集まっています。
起業家は、投資家に対して直接コンタクトを取ることができ、早ければ最短3日で資金調達が可能です。
2種類の定額課金制プランがあり、投資家にファーストコンタクトが取れるか否かに違いがあります。
定額課金以外に、交渉成立時の手数料などは別途発生しません。
資金調達マッチングの料金プランの詳細は、以下の通りです。

シルバープラン

利用できる機能は、事業内容の登録・掲載のみです。
起業家からファーストコンタクトを行うことはできませんが、投資家からコンタクトがあれば、その後は制限なく自由に交渉できます。

S-30(30日プラン) 8,980円
S-90(90日プラン) 21,980円
S-180(180日プラン) 42,980円
ゴールドプラン

シルバープランの基本機能に加え、投資家へのファーストコンタクトが無制限で行えるプランです。
起業家からのコンタクトが可能になると、多くの投資家へアプローチすることができます。

G-30(30日プラン) 19,980円
G-90(90日プラン) 42,980円
G-180(180日プラン) 63,980円

両プランとも、有効期間が長いプランほど料金が割安になります。
シルバープランなら最大で20%、ゴールドプランなら最大で46%もお得です。

グッドエンジェル

運営会社 株式会社グッドヒル
設立 2011年
会員数 起業家:約7,000人 投資家:約2,500人
料金プラン 新規登録無料、有料プランあり(月額制)

グッドエンジェルは、会員数が国内最大クラスの規模を誇るマッチングサイトです。
2011年に運営スタートし、2018年時点で創業7周年を迎えた老舗サイトです。
会員数が多いのは利点ですが、新規登録無料であるため、当たり外れが大きいという口コミがあります。
投稿や閲覧は無料ですが、投資家とコンタクトを取るには有料プランに移行する必要があります。
信頼できる投資家どうか判断する目を養うまでは、メッセージを送る相手は慎重に選びましょう。
グッドエンジェルの料金は、以下の通りです。

月額制プラン 9,500円(投資家は無料)

アップルーム

運営会社 アップルーム
設立 不明
会員数(メルマガ購読者数) 13,000人
料金プラン 新規登録・投稿は無料
有料プランあり(定額制・有効期限2ヶ月)

アップルームは、掲示板やメルマガを通じて投資家にPRできるサイトです。
テレビや雑誌からの取材履歴が多数あり、アップルーム発行のメルマガは13,000部を超えており、まぐまぐ殿堂入りを果たしています。
メルマガでは、広告掲載料金(15,000円)を支払うとヘッダーでPRを目立たせることができます。
掲示板掲載申込みは無料で行えますが、投資家とコンタクトを取るには有料プランへの移行が必要です。
アップルームの料金プランの詳細は、以下の通りです。

パートナー募集登録

新規登録や掲示板投稿・閲覧だけなら、無料で利用できます。
有料プランにすると、掲示板への掲載に加え、コンタクトが無制限で行えます。

定額料金 5,400円(掲載期間2ヶ月)
特殊な内容の提示

アダルト・風俗関連の内容を掲載する場合は、掲示板への投稿のみでも有料になります。
また、投資家とコンタクトを行う際はより高額な料金が課金されます。

定額料金 5,400円~10,800円(掲載期間2ヶ月)

ファウンダー(Founder)

運営会社 ファウンダー株式会社
設立 2017年8月1日
会員数 起業家:約7,400人 投資家:約1,200人
料金プラン 新規会員登録無料、有料プランあり(定額制)

ファウンダーは、起業家の登録数がトップクラスの人気サイトです。
100万円~1億円の事業資金調達が活発に行われており、最短1分でマッチングできることもあり、そのスピード感が魅力です。
日別にマッチング数が公開されており、画像の投稿もできるなど、明朗なサービスが安心できるポイントです。
投資家を年代や公開日、投資額などに応じて細かく絞り込み・並び替えができる上、検索機能が使いやすい点も人気の理由です。
設立から間もないですが、サイトデザインが洗練されており、急速に会員数を伸ばすなど、若いサービスならではの勢いがあります。

新規会員登録・案件投稿は無料ですが、投資家へメッセージを送るには有料プランに加入する必要があります。
ファウンダーの料金プラン詳細は、以下の通りです。

1ヶ月プラン 9,800円
3ヶ月プラン(期間限定スペシャルプラン) 29,400円
6ヶ月プラン 58,800円

プランの有効期間が長期であるほど割安になるのに加え、じっくり交渉できるので、長期になればなるほどマッチング率が4~8倍もアップします。
どのプランもクレジット決済対応なので、契約してすぐに投資家にコンタクトを取ることができます。