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銀行借入、株発行、コストを抑えた資金調達方法

銀行借入、株式発行による増資といった方法には、資金調達コストがかかります。
資金調達方法によっては、調達コストが高くつく場合があります。

いつまでに・いくら調達できそうかということだけでなく、それに伴うコストも勘案の上、調達先を選びましょう。

資金調達コストの種類やコストの計算方法、調達先による違い、コストを抑える方法といったポイントを説明します。

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資金調達コスト(資本コスト)とは?

資金調達コスト(資本コスト)は、企業や投資家によってその捉え方が違うので、まずはその種類・意味をよく理解しておかなければなりません。

資本コストは、主に以下の3種類に区分されています。

①負債コスト

負債コストとは、銀行借入や社債などの負債によって調達した資金にかかるコストです。
つまり、返済と同時に払う利息のことで、信用リスクなどを元に利率が決定されます。

負債は将来返済が必要な他人資本であるため、資本コストの中でも重視されやすいです。

利息は損金として計上されるので、節税になります。
例えば、100万円の利益があって負債コストが50万円だった場合、残りの50万円が課税されます。

この税金負担の軽減分によって、実際の負債コストを下げることができます。

税引き前の負債コストは、社債を発行している企業であれば、長期社債の利率がそれにあたります。

また、格付けされている会社の場合、社債は発行していなくても、同ランクの会社の利率を参考に負債コストを計算することができます。

②株主資本コスト

株主資本コストとは、株式発行によって調達した資金にかかるコストです。
投資家や株主から調達した資金は自己資本となり、返済の必要はありません。

しかし、株主はリターンに期待して出資を行っているので、企業は株主に対して配当(インカムゲイン)を行う義務があります。

つまり、株主資本コストとは配当を指しています。
株主と経営者が同じであれば、収益をそのまま資本に回せるので、資本コストはかかりません。

資金調達コストを考える上で、負債コストばかりが注目されがちですが、実はこの株主資本コストのほうが高くつきやすいです。

日本ではあまり注目されないコストですが、海外でビジネスを展開する上では、外せないポイントです。

社債と比較して、株式によるリターン(期待利回り)は大きくなります。
なぜなら、株式は倒産によって価値が無くなる可能性や、利回りの不安定さなど、リスクも大きいからです。

その分、株主を満足させなければ経営陣解散という事態もあり得えます。

負債コストである利息の計算が分かりやすいのに対し、株主資本コストの計算はやや複雑です。

株主が期待する利回りが何%であるかによって変わりますが、共通しているのは、リスクが大きいほど要求リターンが大きくなる、ということです。

③内部留保コスト

内部留保とは、純利益から経費や配当などを差し引いた残りの蓄え(自己資本)のことを指しています。

借入や増資が企業の外部と取引を行う「外部資金調達」であるのに対し、内部留保を用いるのは「内部資金調達」に分類されます。

内部留保は法人税を支払った後に残る蓄えですが、「留保金課税」によってさらに税金が引かれる場合があり、これが内部留保コストとなります。

上記のうち、負債コストと株主資本コストを包括的に計算したものを、WACC(ワック)といいます。
WACCとは、英語で「加重平均資本コスト(Weight Average Cost of Capital)」を略したものです。

WACCの計算方法

WACC

負債コストと株主資本コストの割合がそれぞれ何%であるかを元に、平均して資本コストの割合はいくらになるか、計算を行います。

その計算式とは、以下の通りです。

(負債総額×負債コスト+株主資本総額×株主資本コスト)÷資本総額

例えば、負債総額が100億円、株主資本総額が200億円、これらを合わせた資本総額が300億円だとします。
そして、負債コストは1%、株主資本コストは5%だとしましょう。

WACCの計算方法によって、資本総額に占める資本コストの割合は、以下の結果になります。

(100億円×1%+200億円×5%)÷300億円=(1億円+10億円)÷300億円=約3.6%

経営を行う上では、この資本コストをキャッシュフロー(収入から支出を引いた金額)が上回っている必要があります。

上記の例で言えば、資本コストの金額は500億円×3.6%=18億円となるので、キャッシュフローは18億円以上でなければ赤字になります。

WACCを計算するメリットは、負債コストばかりに囚われず、包括的に資本コストを考慮できるという点にあります。
負債コストは借入金の利子という形で目に見えやすいですが、株主へのリターンは軽視されやすいからです。

しかし、株主へのリターンもきっちり返していないと、投資家からの評価が大きく下がってしまいます。
結果、株価が下落して経営が悪化するので、資本コストの回収に必要なキャッシュフローを計算するのは、非常に重要なことなのです。

銀行融資や増資の資金調達コストを比較すると?

最もよく利用される資金調達方法が、銀行融資や投資家からの出資(増資)です。
それぞれの資金調達コストの目安と、どちらがよりコストを抑えられるのかを、見ていきましょう。

負債コスト(銀行金利)の目安は?

まず、負債コストの具体的な計算方法を説明します。
負債コストは、借入金に利率をかけて利息を計算した後、法人税(税率35%)を引いて算出されます。
例えば、借入金が1,000万円で金利が2%だった場合、計算式は以下のようになります。

1,000万円×2%×(1-35%)=13万円

金利の相場はいくら?

金利については、金利が定期的に更新される「変動金利」が適用されることが多いです。
変動金利は、中央銀行である「日本銀行」が他の銀行に対して、その時点でいくらの金利で融資を行っているかに連動します。

銀行が日本銀行から融資を受けた分が、企業への融資の元手になっているのです。

銀行は、日本銀行に対して金利を支払わなければならないので、企業にはそれより高い金利で貸さなければ、利益を出すことはできません。

日本銀行の金利と、その他の銀行の金利の差が、銀行の利益となります。
日本銀行の金利は景気の動向によって上下するので、変動金利もそれに連動し、より高い相場で上下するのです。

変動金利以外に、「固定金利」という制度も存在します。
固定金利とは、返済が完了するまで、利率が一定のままずっと変わらない金利です。

銀行融資では変動金利であるのに対し、固定金利は公的機関(日本政策金融公庫など)の制度融資に適用されます。

その他に金利を左右する要素としては、企業の信用力や、事業の将来性が挙げられます。
これらは融資の可否を判断するために審査されるだけでなく、金利を決定する材料にもなるのです。

融資を受ける上では、まず返済能力があることが前提となりますが、この能力が高い企業ほど金利は安くなります。
銀行融資を受ける場合、相場は返済能力に応じて、1~3%の間が目安となります。

返済能力は、主に銀行格付けのデータによって判断されます。
銀行格付けでは、企業の返済能力に加え、収益性や成長性、安全性といったデータから、信用力を評価しています。

信用力が高ければ金利が安くなるだけでなく、融資が迅速に実行されて、融資額が大きくなるなど、多くのメリットが得られます。

株主資本コスト(株主への配当)の目安は?

株主資本コストは、負債コストのように法人税を引くことはできないので、より高くつきます。
株主資本コストの計算方法は、増資額に配当率をかけて算出されます。

例えば、増資額が1,000万円で配当率が3%の場合、計算式は以下のようになります。

1,000×0.03=30万円

投資家は、収益が株主資本コストを上回ることを期待して、出資を決定しています。
その指標となるのが、ROE(株主資本利益率)です。

ROEは、当期純利益÷株主資本、または1株あたりの利益÷一株あたり純資産によって求められます。
この数値が高くなるほど、増資によって得た資金から、利益を効率よく上げているということが分かります。

株主にリターンを返すにあたっては、必ずしも配当を行わなければならないわけではありません。
なぜなら、株価が上昇するだけでも、株主は株を売って売却益を得ることができるからです。

ただ、株価がそれほど上がっていない状態で、配当以上の利益を出せないと、企業の負担が大きくなる場合もあります。
一般的に、株主からは高い配当率を期待されるので、それを満たせなければ、株式を買い取る必要が出てきます。

また、借入金完済と共に支払いが完了する利息とは違い、配当は毎年払い続けなければならない点も、考慮しましょう。

増資割合が大きいほど、株主の影響力が強くなり、株主配当コストに加え経営・業務の面でも悩むことになります。
ですが、株主と業務提携することで信用力が上がる他、営業を拡大できるといったメリットもあります。

特にベンチャー企業にとってこの恩恵は大きく、コストをメリットが上回る可能性があります。

配当に限らず、株主優待をうけて出資者を募る方法もあります。
配当金よりも商品の準備や発送といった手間がかかりますが、株式に分かりやすい価値をつけることで、出資者の拡大を狙えます。

特に、上場を狙っている企業は一定数以上の株主を獲得しなければなりません。
また、広く浅く出資を募ることで、株主に経営権を脅かされるリスクを軽減できるメリットもあります。

配当金や株主優待に加え、登記費用として増資金額に応じた登録免許税(印紙代)も計算する必要があります。
登録免許税は増資額の1,000分の7かかる計算です。
例えば、増資額が500万円だった場合、登録免許税額は以下のようになります。

5,000,000×0.007=35,000円

この計算結果が30,000円未満だった場合でも、登録免許税は最低額の30,000円払わなければなりません。

資金調達コストを抑える方法とは?

資金調達によって効果的に利益を上げるには、そのコストを抑える工夫が必要です。
まずは、借入と増資の割合を見直し、リスクの低い資本構成に変えていきましょう。

理想は、返済不要な自己資本(内部留保)の割合が、最低でも20~30%を占めていることです。
ですが、事業拡大のためには、借入や増資によって思い切った投資も行わなければなりません。

資本構成に絶対的な正解はありませんが、リスクを最低限に抑えるひとつの考え方として、節税ができる負債コストの割合を増やすのがおすすめです。
内部留保であれば税金がかかってしまうので、利子を経費にできる銀行融資の節税効果は、自己資本と比較しても大きいです。

株主資本コストは、倒産のリスクが高いほど、株主から要求されるリターンも大きくなります。
会社の業績が悪いときに増資を行うと、株主資本コストの負担がますます苦しくなるので、返済可能な範囲で借入を行うほうが安全です。
低金利で借入ができれば、コストが浮いた分で効率的に収益を上げることができます。

低金利で事業資金を借入できるのは、公的機関による制度融資や、銀行融資です。
審査や調達のスピードを重視するなら、消費者金融という選択肢もあります。
それぞれ、負債コスト(金利)の相場はいくらになるのかを紹介します。

公的機関による制度融資

制度融資の金利は、担保が不要であれば1.8~2.3%、担保融資なら1.1~2.2%前後の利子になります。
無担保・無保証人の新創業融資制度ではやや高くなりますが、それでも2%台に収まるので、ベンチャー企業にはありがたい存在です。

さらに、制度融資は固定金利なので、返済途中で金利が高くなる心配もなく、銀行融資より低リスクです。
低金利・固定金利であることを活かし、返済期間が長期化しやすい設備資金の調達に最適な他、個人事業主に対応した融資制度が多いのもメリットです。

銀行融資

銀行融の金利相場は、中小企業向けの事業融資であれば、2%~になります。
ただし、変動金利なので金利が高くなるリスクに注意しましょう。
ローンの種類によっては、固定金利を選ぶこともできます。
担保・保証人なしで契約できるローンや、借り換え相談に親身になってくれる銀行は増えているので、気軽に事業資金の相談をしてみましょう。

特に、不動産を担保にすると借入のハードルが大きく下がるので、継続的な運転資金の調達に便利です。
個人事業主で担保にできるものがなければ、信用保証付き融資を活用しましょう。
取引銀行を一箇所に絞って長期的に関係を築いておくと、融資条件が良くなる他、取引がスムーズに進むといったメリットがあります。

消費者金融

公的機関や銀行で融資を断られてしまうと、消費者金融(ノンバンク)のビジネスローンで借入せざるを得ません。
しかし、消費者金融系ローンは、6~10%以上の高金利になってしまいます。
よほど急ぎで資金調達する必要がある場合を除いては、おすすめできません。
ですが、継続的な取引で信用力が高まれば、交渉によって金利を低くすることは可能です。

短期・単発的な調達に活用し、早めに返済を完了して取引実績を積み上げておくのが良いでしょう。
返済が長期になるほど金利負担が大きくなるので、余裕ができたら一括返済も検討するべきです。

銀行融資のコストをさらに抑える方法は?

負債コストを抑えるには、借入しやすく低金利の銀行融資がメインの調達方法となるでしょう。
銀行では、付き合いが長くなると金利の交渉に応じてもらえやすくなります。
銀行融資でさらに金利を安くするための、交渉の基本を説明します。

損益計算書の数字で説得する

銀行を納得させるには、金利を下げなければ経営が苦しくなることを、損咳計算書を示して具体的に理解してもらう必要があります。
営業利益(売上総利益-管理費・販売費)から支払利息・返済額を引いて、最終的に残る資金(手元資金)がいくらになるかが、ポイントです。
売上の変化や変動金利によって、手元資金がごくわずかになることもあるでしょう。
交渉を進めるには、まずそのような状況が損益計算書で確認できなければ始まりません。

返済シミュレーションを明確にする

損益計算書で、返済や利息の支払いが苦しいことを説明しても、説得には不十分な場合があります。
そこで、これ以上経営が苦しくなると、返済も不可能になる恐れがあることを、強調してみましょう。
銀行としては、取引先の企業が倒産して資金を回収できなければ元も子もないので、利子の引き下げに応じざるを得ません。

金利の引き下げによって余裕の出た資金を元手に、どのようにして収益アップを図っていくか、その具体的な説明も欠かせません。
このように、銀行との金利交渉は一筋縄ではいきませんが、たった1%の違いで数十万円の差が出ることがあります。
返済のためにさらに借金をするのではなく、交渉の努力を重ねて負債コストを抑えるのもひとつの方法です。

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