北海道最大の地方銀行である「北洋銀行」でも、ファクタリング(債権流動化)業務が実施されています。
それが、「北洋一括ファクタリングシステム」です。
民間ファクタリングと比べて、北洋銀行のファクタリングはどうなのか、そのメリットや口コミ評判を検証します。

北洋一括ファクタリングシステムの仕組みとは?

北洋銀行のホームページ

北洋銀行の「北洋一括ファクタリングシステム」の仕組みは、民間ファクタリングと基本的に同じです。
支払企業(売掛先)に対して納入企業(債権者)が有する売掛債権を北洋銀行が一括して買い取ることで、支払企業の買掛金決済事務を代行します。
納入企業に対しては売掛債権の期日前支払いを行うことで、資金調達をサポートします。
北洋一括ファクタリングシステムには、支払企業・納入企業のそれぞれに、以下のメリットがあります。

納入企業にとってのメリット
  • 資金調達のコストを安く抑えられる
  • 手形の取立てに係る手間や、手数料などが不要
  • 負債を減らすことで、財務状況の改善につながる
支払企業にとってのメリット
  • 手形発行に係る印紙代や人件費などのコストを削減できる
  • 手形振出しを廃止することで、決済事務の効率化ができる

北洋一括ファクタリングシステムの利用の流れ

北洋銀行のファクタリングは、支払企業・納入企業・北洋銀行の3社間で同意した上で、契約が締結されます。
民間ファクタリングのように、2社間契約はできません。

ファクタリング利用前には、支払企業と納入企業それぞれに対して審査が行われます。
北洋銀行へ代金決済を行う支払企業に対しては特に、信用力の調査が厳しく行われます。
3社間の取引は、以下の手順で行われます。

  1. 支払企業に対して、納入企業から商品等の納入が行われ、売掛債権が発生します。

  2. 納入企業は、北洋銀行に対して売掛債権を譲渡します。

  3. 北洋銀行は納入企業に対して、売掛債権の期日決済または期日前支払い(割引)を行います。

  4. 売掛債権の期日が到来したら、支払企業から北洋銀行に対して、代金決済が行われます。

北洋銀行の債権流動化サービスは2種類

北洋銀行に対して債権流動化による資金調達を依頼する場合、保有する債権の種類に沿って、ニーズに合わせた資金調達が可能となっています。
北洋銀行では、売掛債権以外にも、以下の債権を取り扱っています。

  • 診療報酬債権、調剤報酬債権
  • 公共工事関連債権(完成工事未収入金)
  • 割賦債権、リース債権
  • 手形債権

これら債権の種類に応じて、以下の2種類の方式から選ぶことになります。

直接買取り方式(コミットメント方式)

工事未収入金など、一部の債権に対して適用される方式です。

SPC(特別目的会社)方式

売掛債権をはじめ、手形債権や診療・調剤報酬債権など、複数の債権(集合型債権)を一括して資金化する場合に適用される方式です。

SPCによる債権流動化とは?

まずSPC(特別目的会社)とはどんなものかを説明すると、売掛債権の管理・回収など、特定の目的のために設立された会社のことです。
SPCは配当金の支払いを約束することで出資者を募り、その資金で売掛債権を買取ります。

たとえば、納入企業から100億円の売掛債権を買取る場合、割引によって90億円の譲渡代金を支払うことになったとします。
SPCはその譲渡代金に充てるため、出資者から90億円を融資してもらいます。

そして、支払企業から100億円の債権支払いがあったら、SPCは出資者に対して元本と配当金を併せた金額を支払います。
配当金を5億とすると、SPCから出資者に支払われる金額は95億円です。
100億円から出資者に支払う95億円を引いた5億円が、SPCの利益となります。

SPC方式を採用するメリットとしては、小口の出資者を多数集めることが可能なため、高額債権でも現金化しやすいという点が挙げられます。
また、出資者が重視するのは支払企業の信用力に集約されるため、信用力が低い納入企業でも優良債権さえ持っていれば、容易に資金化できるというメリットもあります。

「北洋でんさいサービス」で、債権を有効活用!

北洋銀行は、「でんさいネット(全銀電子債権ネットワーク)」に参加しているため、電子記録債権を活用した取引が可能です。
北洋銀行で電子記録債権を利用するための「北洋でんさいサービス」は、北洋銀行ホームページから取引を便利に利用できます。
電子記録債権の発生記録をはじめ、債権譲渡から支払いまで、すべてオンラインで完結します。

北洋でんさいサービスを活用することで、支払企業・納入企業のそれぞれに、以下のメリットがあります。

支払企業にとってのメリット
  • 手形の発行や振込み準備など、支払いに関する事務負担が軽くなる
  • 手形や振込み、一括決済といった複数の支払手段を一本化することで、効率化が図れる
納入企業にとってのメリット
  • ペーパーレス化によって、手形の管理・保管コストが不要になり、万が一の紛失や盗難も避けられる
  • 電子記録債権を必要な分だけ分割して譲渡したり、割引で早期現金化することができる
  • 売掛債権の支払期日が来たら自動入金されるため、取立てが不要になり、より迅速な入金が可能
  • 従来は利用できなかった債権も、譲渡や早期現金化が可能になり有効活用できる

北洋でんさいサービスを介して債権譲渡などの取引を行うには、支払企業・納入企業それぞれの取引金融機関が、でんさいネットに加入している必要があります。
また、債権者として利用する場合は、北洋銀行に当座預金または普通預金を開設・保有することが条件となります。

北洋でんさいサービスでは、電子記録債権の全額または一部金額を割引申込みすることで資金調達できますが、これはあくまで債権を担保にした融資なので、ファクタリングではありません。
そのため、民間ファクタリングより審査が厳しくなります。

北洋銀行の信用性はどう?

北洋銀行は地方銀行とはいえ、北海道最大の規模を誇る金融機関です。
三井住友銀行や三菱UFJ銀行、みずほ銀行といったメガバンクに続いて、全国的にも高いシェアを誇っています。
そのため、地方銀行の中でも安定したサービスが期待できるでしょう。
インターネットバンキングの導入など、北海道外からの利用にも柔軟に対応しています。

一括ファクタリングサービスの詳細については、北洋銀行の店舗窓口にて、直接相談に対応しています。
北洋銀行の支店は、北海道に約160店舗、東京には1店舗しかないので、道内でなければファクタリングの直接相談は困難です。
北海道外の企業にとっては、資金調達の迅速性というメリットがないので、地元に近い民間ファクタリング業者を探すことをおすすめします。

北洋銀行の一括ファクタリングは中小企業向き?

北洋銀行の一括ファクタリングサービスは、法人から個人事業主まで幅広く対応しているため、信用力が一定以上の中小企業であれば問題なく利用できます。
しかし、納入企業・売掛先それぞれに厳しい審査が課されるため、多重債務や支払い遅延などの記録があると、契約を断られる可能性はあります。

銀行系ファクタリングならではの手数料の安さは魅力ですが、審査の厳しさに加え、北洋銀行が地方銀行であるという問題も出てきます。
インターネットバンキングやでんさいネットの加入など全国対応も進んでいるとは言え、北海道外からファクタリングを気軽に利用するには不向きなのが現状です。
北海道の中小企業にとっては便利な北洋銀行ですが、それ以外の中小企業が手軽で迅速な資金調達を望むなら、全国対応の民間ファクタリング業者が有益な選択肢です。