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会社を経営していて資金繰りに困った場合、資金調達のために融資やローンを利用することになります。
しかしどのように融資を受けたらよいのか、ローンの種類にはどういうものがあるのか、融資に関する知識が乏しいため、困ってしまう方もいるのではないでしょうか。
経営者であれば日頃から資金調達の手段を考えながら、会社を経営していかなければいけません。
そこでこの記事では、ビジネスローンとカードローンの大まかな仕組みからビジネスローンとカードローンの違い、ビジネスローンとカードローンの使い分けまで紹介します。
ビジネスローンとは?
まず、ビジネスローンとはどういうものなのかみていきましょう。
ビジネスローンの仕組み
ビジネスローンの特徴としては、スコアリングシステム(統計的モデルに基づいて、個人または企業の信用度を点数化し、与信可否を判断するシステム)による自動審査を採用していること、公的融資や通常の銀行融資よりも審査の難易度を低くし、代わりに公的融資よりも金利を高く設定することで融資を可能にしていることなどが挙げられます。
ビジネスローンを提供しているのは、主に「銀行」と信販会社などの「ノンバンク」の2種類の金融機関です。
以下に、代表的なビジネスローンを簡単にご紹介します。
ビジネスローン
商品名 | 金利 | 融資上限 |
---|---|---|
三井住友銀行 「ビジネスセレクトローン」 |
年2.125%~ | 1億円以内 |
三菱UFJ銀行 ビジネスローン「融活力」 |
年2.1%~9.0% | 5,000万円以内 |
みずほ銀行 「みずほスマートビジネスローン」 |
年1.0%台~14.0% | 10万円以上、最大1,000万円 |
りそな銀行 りそなビジネスローン 「活動力」 |
年6.0%、年10.0%、年14.0% | 10万円以上500万円以下 |
楽天銀行 「楽天銀行ビジネスローン」 |
固定・変動金利 | 100万円以上1億円以下 |
ジャパンネット銀行 「法人向けビジネスローン」 |
年4.8%~13.8% | 最大500万円 |
ビジネスローン(ノンバンク)
商品名 | 金利 | 融資上限 |
---|---|---|
株式会社湊屋商事 「無担保ビジネスローン」 |
年10.0%~18.0% | 50万円~2,000万円 |
アイフルビジネスファイナンス株式会社 「アイフルビジネスファイナンスカードローン」 |
年3.1%~18.0% | 1万円~1,000万円 |
株式会社オリエントコーポレーション 「ビジネスサポートプラン」 |
年6.0%~15.0% | 証書付きタイプ:100万円~1,000万円 クレジットライン設定タイプ:50万円~500万円 |
三鷹産業株式会社 「商工ローン」 |
年6.0%~15.0%(100万円以上) 年6.0%~18.0%(100万円未満) |
50万円~1,000万円 |
ビジネスローンのメリット
次に、ビジネスローンのメリットについて詳しくみてみましょう。
事業資金として認められる
ビジネスローンの場合、借り入れたお金は事業資金として認められます。
会社の経費として処理できるため、事業に関するすべての用途で自由に資金を使用できます。
一方フリーローンやカードローンの場合、事業資金としては認められません。
そのため、事業用途としてこれらのローンを利用した場合、使途が制限されます。
総量規制に分類されない
ビジネスローンの場合、総量規制の例外に該当するため受けられる融資額に上限はありません。
総量規制とは貸金業法で定められている制度で、利用者の年収の3分の1を超える貸付を規制するという制度です。
年収によって借りられる金額が決まってしまうので、経費計上することによって所得を抑えているような自営業者の場合、総量規制によって借りられる金額が制限されることがあります。
しかしビジネスローンは総量規制の対象外であるため、審査に通ることができれば所得額に関係なくお金を借りることができるのです。
事業資金を確保までが速い
多くのビジネスローンは最短で即日か、遅くても1週間以内に融資を受けられます。
通常の銀行融資の場合、融資が決まるまで1か月ほどかかる場合がほとんどであり、ビジネスローンのスピード感は大きなメリットです。
ビジネスローンのデメリット
メリットの数多いビジネスローンですが、逆にビジネスローンのデメリットについてもみてみましょう。
高金利
ビジネスローンは無担保であるがゆえに審査が柔軟かつ早いというメリットがある反面、金利が高く設定されています。
前述のビジネスローンの金利をみていただくとわかりますが、金利は銀行系で2%~10%程度、ノンバンク系で6%~18%程度です。企業融資の金利が低いと言われている日本政策金融公庫の場合、中小企業向けの融資に対する金利は1%台となっています。
そのため、返済が長期間に亘ることがわかっていいながらビジネスローンで借りてしまうと、長期的に高額な利息を払い続けることになってしまいます。
※参考 日本政策金融公庫 中小企業事業 利率一覧
https://www.jfc.go.jp/n/rate/base.html?_fsi=sDE91nA1
融資額がそれほど高くない
こちらもビジネスローンの融資上限をみていただくとわかりますが、三井住友銀行と楽天銀行以外、最大でも2,000万円までしか借りられません。
中には500万円までしか借りられないビジネスローンもあります。
日本政策金融公庫の場合、融資上限額は貸付の種類によっても変わりますが億単位に設定されているものもあるため、大きな金額を借りたいという場合にはビジネスローンはおすすめできません。
※参考 日本政策金融公庫 融資制度を探す 中小企業事業
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/index.html
信用情報機関に借りた履歴が残る
法人がビジネスローンを利用している場合、決算書にその旨が記載されます。
そのため、今後通常の銀行の融資や公的融資を利用したい場合、ビジネスローンの履歴があると審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
100%借りられないというわけではありませんが、そういったリスクも考慮したうえでビジネスローンの利用を検討しましょう。
カードローンとは?
次に、カードローンとはどういうものかみていきましょう。
カードローンの仕組み
契約する際に利用する限度額が設定され、利用限度額の範囲内であれば何度でも自由に借り入れできます。
カードローンはフリーローンに分類され、借りた資金の用途は制限されません。
カードローンには大きく分けて銀行カードローン、消費者金融カードローン、信販会社カードローンがあります。
それぞれどういったものがあるか、代表的なカードローンをみていきましょう。
銀行カードローン
商品名 | 金利 | 限度額 | 使用用途 |
---|---|---|---|
三菱UFJ銀行 「バンクイック」 |
年1.8%~14.6% | 10万円~500万円 | 事業に関連する資金以外であれば原則自由 |
三井住友銀行 「カードローン」 |
年4.0%~14.5% | 10万円~800万円 | |
みずほ銀行 「カードローン」 |
年2.0%~14.0% | 10万円~800万円 | |
住信SBIネット銀行 「カードローン スタンダードコース」 |
年8.99%~14.79% | 10万円~300万円 |
消費者金融カードローン
商品名 | 金利 | 限度額 | 使用用途 |
---|---|---|---|
アコム「カードローン」 | 年8.0%~18.0% | 1万円~800万円 | 自由 |
アイフル 「ファーストプレミアムカードローン」 |
年3.0%~9.5% | 100万円~800万円 | 自由 |
プロミス 「自営者カードローン」 |
年6.3%~17.0% | 300万円まで | 生計費及び事業費に限る |
SMBCモビット | 年3.0%~18.0% | 1万円~800万円 | 自由 |
信販会社カードローン
商品名 | 金利 | 限度額 | 使用用途 |
---|---|---|---|
オリコ 「カードローンCREST」 |
年4.5%~18.0% | 1万円~800万円 | 自由 |
ジャックス 「プレミアビアージュ」 |
年4.5%~18.0% | 最高500万円 | 事業性資金及び 他社債務弁済は除き自由 |
オリックス・クレジット 「VIPローンカードBUSINESS」 |
年6.0%~17.8% | 最高500万円 | 自由 |
カードローンのメリット
カードローンにはさまざまなメリットがありますので、詳しくみてみましょう。
返済方法が楽
多くのカードローンは24時間365日利用できます。
コンビニのATMでの返済、Web上での返済などさまざまな返済方法を用意しているカードローンが多いため、利便性があります。
審査が速い
審査スピードが速い点もメリットです。
条件にもよりますが最短で30分で審査し、1時間後に融資を受けられるようなカードローンもあります。
使用用途が自由
銀行カードローンを除いて、使用用途が制限されるカードローンは少なくなっています。
返済する目途はあるが、現時点でどうしてもお金が足りないためにすぐに融資してほしい、というような場合には重宝するでしょう。
カードローンのデメリット
次に、カードローンのデメリットをみてみましょう。
事業資金として認められない場合がある
前述のカードローン種類をみていただくとわかりますが、カードローンの中には事業資金としての使用を禁止しているものがあります。
使途自由とされているカードローンでも但し書きに「事業性資金は除く」と書かれている場合は事業資金として使用することはできません。
事業用途での借り入れを検討している場合は注意が必要です。
総量規制の対象に分類される
消費者金融、信販会社カードローンは、貸金業法に従って総量規制の対象に分類されるため、利用者の年収の3分の1を超える融資は受けられません。
ただし、銀行カードローンは貸金業法ではなく、銀行法によって融資を行っているので、総量規制の対象からは外れています。
そのため審査に通れば、年収の3分の1を超える融資を受けることが可能です。
金利が高い
カードローンは全体的に、金利が高く設定されていることもデメリットです。
ただし金利には差があり、消費者金融や信販会社カードローンよりも銀行カードローンの方が低金利に設定されています。
信用情報機関に履歴が残る
カードローンを利用したことは信用情報機関に履歴が残ります。
今後の各種ローンの審査に影響があるため、特にこれから住宅ローンや自動車ローンの利用を検討している方はカードローンを利用するかしないか、十分に検討する必要があるでしょう。
ビジネスローンとカードローンの明確な違い
ビジネスローンとカードローンについてそれぞれ特徴を解説してきましたが、ここからはビジネスローンとカードローンの明確な違いについて説明いたします。
カードローンの中には事業資金に使うのはNGなものもある
ビジネスローンは、ノンバンク、銀行いずれも事業資金として認められますが、カードローンの場合、事業資金として使用することを認めていないものもあります。
カードローンは事業資金よりも生活費などの借り入れを想定しているものが多いため、事業資金としての借り入れには向かないものも多いのです。
ビジネスローンは総量規制の対象外
ビジネスローンは貸金業法の総量規制の対象から外れているため、各会社の融資金額に上限が設けられていますが、貸金業法上での制限はありません。
カードローンについては銀行カードローンを除いて総量規制の対象になっていますので、借りられる額が少なくなる可能性があります。
ローンの使い分けについて
ではビジネスローンとカードローンはどのように使い分けたらよいのか、みていきましょう。
カードローン
カードローンはその特性上、利息が高額になることから長期での返済に向いていません。
そのため急にお金が必要になった際にあくまでも短期的にお金を借りてすぐに返すという利用法がおすすめです。
カードローンは生活費などとして借りることを想定して作られているため、事業資金として使うには向かない場合が多くなっています。
カードローンは、生活に必要なお金を短期的に借りることを前提に利用することが最もおすすめです。
ビジネスローン
ビジネスローンはそもそも事業資金として借りる方が多いので、事業資金として利用するのがベターです。
借り入れした資金は経費として計上できるのもメリットの1つです。
事業を営むうえでどうしてもお金が足りなくなってしまった時などに、借り入れまでのスピードが速いビジネスローンは重宝するでしょう。
まとめ
ビジネスローンとカードローンの大まかな仕組みからビジネスローンとカードローンの違い、ビジネスローンとカードローンの使い分けまで紹介しました。
事業をされている方は資金繰りで困った場合に、事業費が足りないのか生活費が足りないのかで判断するとローンの使い分が容易になるでしょう。
1つの方法にこだわらず、視野を広くして、選択肢を数多く持っておくことは重要です。