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ビットコインに課税されるタイミングは現金化をしたときです。
日本では利益にかかる税率が4,000万円以上あると45%になり、さらに住民税が10%課税されるため半分以上を税金として納めなければいけません。
一方、香港やシンガポールの税率は非課税や5%と日本と比べかなり低く設定されています。
そのため、ビットコインで億単位の利益を上げた人達が税率の低い国へ移住して行くケースが増えています。
ビットコインなど仮想通貨を扱う業界では、このような人達を「億り人(おくりびと)」などと呼んでいます。
しかし、中にはどうしても日本を離れたくない、離れられないという人もいるはずです。
そこでこの記事では日本で暮らしながらビットコインを現金化しても、節税できる仕組みについて解説します。
ビットコイン現金化の節税対策は海外移住しかない?
ビットコイン取引で4,000万円以上の利益を上げた人が、国内で現金化した場合の税率は45%です。
そのためもっと税率が低い海外に行って現金化しようと考える人もいるはずです。
しかし、ただ海外に行って現金化するだけでは日本の税率が適用され何のメリットもありません。
課税率を下げるためには、その国に「移住」しなければいけないのです。
つまり日本を離れ香港やシンガポールなど税率の低い国に移り住まなければ、現金化で得た利益の税率を下げることはできません。
海外ならどこで現金化しても税金は変わらない?国別の課税率の比較
先ほど日本と香港・シンガポールの税率に触れましたが、国によってビットコインの現金化に課せられる税率は違います。
税率が他の地域に比べ著しく低い、または税金が免除されている国のことを「タックスヘイブン」といいますが、「億り人」とはそれらの国に移り住む人のことをいいます。
以下にビットコインの現金化による税率が低い「タックスヘイブン」といわれる国をいくつか紹介します。
シンガポール
シンガポールでは所得税は最大20%に設定されています。
日本と比べると25%も低いことになりますから、そのメリットはとても大きいといえます。
10億円の利益が出ているのであれば、2億5000万円もの節税になります。
ベラルーシ
旧ソ連から独立した国で、ビットコインの現金化にかけられる税金は免除されるという正にタックスヘイブンの代表といえる国です。
ベラルーシはビットコインなどの仮想通貨に力を入れており、国営企業「ハイテクパーク」を設立しました。
ベラルーシで税の免除を受けるためには、この「ハイテクパーク」に加入する必要があります。
加入には一定の条件を満たす必要があり、さらに現金化の税金を免除してもらうためには政府登録企業が発行したビットコインでなければならないといった制約があります。
マレーシア
マレーシアは様々な税金が安い国として知られています。
住民税や相続税、贈与税などが免除されるため世界中の富裕層がその恩恵を受けています。
ビットコインの現金化にかかる税率も6.6%と課税国の中ではかなり低い税率になっています。
ただし、マレーシアは仮想通貨の利益に「消費税」を課しています。
香港
アジア有数の金融都市として知られる香港は、税制の面でもかなり優遇された地域です。
注目は、ビットコインなどの仮想通貨の取引や株式の値上がりなどで得た利益(キャピタルゲイン)は非課税というところです。
しかし、仮想通貨をはじめ株式やFXなどの短期売買で得た利益には課税されますので注意が必要です。
ビットコインを国内で現金化する方法とは
ビットコインを現金化する人の中には、節税のためだけに移住したくないと考える人もいるのではないでしょうか。
そんな人は、国内で現金化しても税金を減らせる方法はないかと考えるはずです。
そこで、国内でビットコインを現金化する方法と、最も節税効果が期待できるものを紹介します。
仮想通貨両替商
仮想通貨両替とは、仮想通貨のユーザー(持ち主)と両替商が相対で取引することで、その場でビットコインを現金に交換できるサービスです。
仲介者がいないので、現金化の手数料を抑えることもできます。
仮想通貨両替商でメジャーなのは、「GMOコイン」「biFlyer」です。
新規に取引する際には、これらの業者のアカウントを取得する必要があります。
仮想通貨両替商は、直ぐに現金化できるメリットがあることで利用者も増えています。
その一方で、値動きが激しいビットコインなどの仮想通貨の取引を規制する動きが世界中で始まっており、仮想通貨両替商の中には今のままの方法では立ち行かなくなっている業者もいます。
とは言え、仮想通貨両替商がなくなることはないようです。
ビットコインの場合であれば、分散型P2P取引プラットフォームの「ビスク」やローカルビットコインといった両替サービスがいまだ利益を上げています
最近登場した「Xコイン」などを含め世界の全ての通貨を取り扱う交換商が参入してきています。
仮想通貨両替商を利用する多くは、外国人観光客といわれています。
ビットコインをその場で現金化して母国で人気が高い日本製の商品を購入しています。
2020年には東京オリンピック大会が開かれますので、さらに利用者の増加が見込まれています。
仮想通貨取引所を利用する
ビットコインの取引を行っている仮想通貨取引所を利用する方法もあります。
こちらは相対取引ではなく間に取引所という仲介が入りますが、安心感があるため多くのユーザーが利用する人気の交換サービスです。
取引所は複数あり、それぞれ取り扱っている仮想通貨の種類や手数料に違いがあります。
ビットコインはほとんど全ての取引所が扱っていますが、交換手数料が無料の取引所もあればスプレッドを採用しているといった取引所もあります。
以下に、ビットコインの現金化で人気の取引所を紹介します。
Coinchek(コインチェック)
使いやすいスマホアプリを導入しており初心者でもはじめやすいのが特徴です。
取引手数料は無料で、取り扱っている仮想通貨はビットコインをはじめ11種類あります。
DMM Bitcoin
ビットコインの取引をはじめるにはピッタリの取引所です。
初心者には嬉しい365日休みなくサポートが受けられるサービスがあります。
手数料が無料というのも魅力のひとつです。
Bit Flyer
日本最大の取引所です。
使いやすやすいアプリが人気で、国内で最も多くのユーザーが利用しています。
2段階認証などセキュリティ面も配慮されています。
販売手数料が販売所と取引所で違っており、販売所は無料、取引所は0.01%~0.15%の手数料がかかります。
ビットコインATMを使う
銀行やコンビニなどに設置してあるATMに似た形式で、ビットコインをその場で現金化して引き出すことができますし、購入することも可能です。
手数料はATMを設置した取引所によって異なり、GMOのATMは無料、ビットフライヤーやビットバンクなどは購入額や売却額によって違います。
ATMは便利ですが、日本ではあまり普及していません。
国内では現在約15台が東京を中心に設置されているだけです。
その理由は仮想通貨両替商や取引所に比べて手数料が高いことにあります。
とは言え、世界中には4000台近いATMがあり、今後日本でも広がっていく可能性はあります。
国内現金化によってかかる税金の計算方法
ビットコインを国内で現金化したときにかかる税金はどのくらいになるのかは、取引で大きく利益を出した人にとっては気になるところです。
日本の所得税は給与所得や事業所得など10種類に分類されており、ビットコインの売買で得た利益は「雑所得」として扱われます。
雑所得とは主に本業以外で得た収入のことです。
ビットコインを現金化した場合、そのキャピタルゲインで得た利益(収入)と、その他の収入を合算した額に税金がかかります。
これを「総合課税」といいます。
合算の対象となる所得は、利子所得、不動産所得、給与所得、譲渡所得、一時所得、配当所得、事業所得の7種類です。
ただし、ビットコインは所有しているだけでは税金がかかりません。
税金がかかるタイミングは、現金化したときやキャピタルゲインで得た利益を使ってショッピングしたときに生じる元本との差額に課税されます。
以下の表は国税庁の資料から引用した所得額に対する税率と控除額です。
課税所得額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0 円 |
195万円∼330万円以下 | 10% | 97,500円 |
333万円~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円∼900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円∼1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
18,000万円∼4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
この他にビットコインを現金化した所得には「住民税10%」も課税されます。
つまり、4,000万円を超える利益を出した場合は55%の税金を納めることになります。
次に消費税の扱いですが、国税庁は2017年7月1日「消費税法施行令の一部改正する政令」で今まで仮想通貨の取引の利益に課していた消費税を非課税にすることを決めました。
欧米では、ビットコインをはじめとした仮想通貨に消費税を非課税としている国が少なく、日本もこれに準じたかたちです。
日本と他国での取引で得た利益に消費税をかけるかどうかが度々議論されてきましたが、日本が消費税を非課税にすることによってこうしたトラブルがなくなしました。
また、現状では仮想通貨を現金化した額には総合課税を適用していますが、これに代わる税制を導入することも検討されているようです。
ビットコインをはじめとした仮想通貨の取引が活発化してきたこともあり、株式投資やFX取引に適用している「申告分離課税」に変え、一律に「20%」の税率にするという考えです。
しかし、現状では具体的なことが何も決まっておらず、実際に法整備が進むかは不透明です。
海外移住以外に税を減らす方法まとめ
現段階ではビットコインで高額な利益を上げたときの節税対策としては、「海外移住」が最も効果的です。
しかし、税金を減らすために全てを捨てて海外に移住することにいささか抵抗があるという人もいるはずです。
海外移住以外に利益を減らさない方法として考えられるベターな方法は、仮想通貨両替商を利用するか、それ以外の相対取引を行うかの二択しかなさそうです。
国内ではビットコインで得た利益にかかる消費税を非課税にするなど、ビットコインなどの仮想通貨に対する税金の扱いは少しずつですが変わって来ています。
しかし、世界各国とのすり合わせは十分とはいえません。
ビットコインなど仮想通貨取引で生まれた富裕層を移住させないためには、税制の改正を急ぐ必要があります。