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ファクタリング業者を装う「新型ヤミ金」の実態とは?被害から身を守る方法は?

近年、ファクタリングを装った「新型ヤミ金」の摘発が全国で相次いでいるせいか、ファクタリングは違法だという誤解が生じているようです。

しかし、本来のファクタリングとヤミ金は全くの別物で、ファクタリング自体は違法な取引ではありません。

当記事では、ファクタリングとヤミ金にはどのような違いがあるのかを説明すると共に、ヤミ金による被害から身を守るための正しい知識をお伝えしていきます。

ヤミ金とファクタリングの違いとは?

ヤミ金とファクタリングの違いとは?

ファクタリングとヤミ金の大きな違いは、「融資であるか否か」「合法か否か」という点にあります。

ファクタリングは合法な「商取引」

ファクタリングとは、会社の売掛債権をファクタリング業者が買取る「商取引」です。

ファクタリングで得た資金は借入金(負債)扱いにならないので、利子をつけて返済する必要はありません。
ただし、ファクタリングでは利子の代わりに売掛債権の買取り手数料(数%~数十%)が発生します。

したがって、ファクタリングで実際に得られる資金は、売掛債権の額面から買取り手数料を差し引いた金額になります。

ファクタリング業者は申込み企業から売掛債権を買取った後、売掛先から直接(または申込み企業を介して間接的に)債権を回収します。

万が一、売掛先の倒産などが原因で債権を回収できなくなっても、ファクタリング業者と「ノンリコース(償還請求権なし)」契約をしていれば、申込み企業に弁済義務は生じません。

ヤミ金は違法な「高金利貸付」

ファクタリングが正当な商取引であるのに対し、ヤミ金は「貸金業登録をしないで営まれる違法な貸金業」です。
最近増えている「新型ヤミ金」はファクタリング業者を装いながら、実質的には「売掛債権を担保にした融資」を行っています。

ヤミ金は違法な無登録業者であることに加え、法定金利を大幅に超える高金利で貸付を行っているので、軽い気持ちで利用してはいけません。
ヤミ金の金利相場は、法定金利(年利15%~20%)の約2~3倍にも及ぶ年利40%~50%です。

さらに悪質なヤミ金は「トイチ(10日で1割)」「トサン(10日で3割)」といった暴利を貪っており、そのような業者から一度でもお金を借りれば借金地獄に陥ってしまいます。

対して、ファクタリングの手数料は最大でも10%~20%程度なので、これより高い手数料を提示する業者とは取引を行わないようにしましょう。

ヤミ金といえば、暴力的な手段で取り立てを行うヤクザのようなイメージを持っている人は多いでしょう。
しかし近年になってヤミ金に対する取り締まりが強化されたため、警察沙汰に発展するほどのあからさまな暴力を振るうヤミ金は一気に減少しています。

代わりに、嫌がらせレベルの脅迫によって被害者を心理的に追い詰める新型ヤミ金が、最近増えているようです。

新型ヤミ金によく見られる脅迫の手口としては、以下のような例があります。

  • インターネット上で被害者の個人情報と悪評を拡散し、社会的信用を失墜させる
  • 被害者の自宅や職場にイタズラ電話をひっきりなしにかける
  • 被害者の自宅に救急車を呼んだり、大量の出前を配達させたりする

ファクタリング業者を装うヤミ金の手口と逮捕事例

ファクタリング業者を装うヤミ金の手口と逮捕事例

ファクタリング業者を装うヤミ金は、どのような手口で詐欺を働いているのかを解説していきます。

ギリギリになって手数料を引き上げる

ファクタリングの見積もり・審査が完了し、いよいよ契約締結・入金という段階になって、急に手数料を引き上げられたら戸惑いますよね。

手数料引き上げの理由が何であるにせよ、結果として相場を大幅に超える手数料が生じるのであれば、真っ当な取引とは言えません。
しかしながら、資金繰りに切羽詰まっている状況では後戻りができなくなるので、なすがままに契約を承諾してしまう経営者は少なくないでしょう。

このような手口は、会社の危機的状況と経営者の焦りに付け込んだ、非常に悪質なものと言えます。

過剰な遅延損害金を請求する

企業とファクタリング業者の2社のみで行う「2社間ファクタリング」では、業者の代わりに企業が売掛先から債権を回収し、支払いを行わなければなりません。

もし企業が売掛金の支払いに遅れたら、ファクタリング業者に遅延損害金を支払う義務が生じます。
遅延損害金の上限は年率6%ですが、、ヤミ金の場合は年率20%~30%もの損害金を請求してくることがあるので要注意です。

ファクタリング業者を通じて融資の勧誘を行う

ファクタリング業者の中には、一見真っ当な取引を行っているように見せかけて、、裏ではヤミ金とつながりがある悪徳業者も存在します。

このような悪徳業者は、ファクタリングでも資金繰りがなかなか改善しない企業に対し、一時しのぎに違法な融資を勧め、ヤミ金から紹介料を受け取っています。

一度でも取引をしたことがあるファクタリング業者の話なら信じたくなるかもしれませんが、怪しい融資の話を持ちかけられたら、たとえ馴染みの業者であっても警戒してください。

偽の貸金業登録番号を掲示し、信頼性をアピールする

ファクタリング業者は貸金業者と違って、営業に特別な許可や免許は必要ありません。

しかし、ファクタリングと貸金業の違いを理解していない人は、「貸金業登録を受けているファクタリング業者なら安心」と思い込んでしまう可能性があります。

ヤミ金はそのような誤解を利用して、店頭やHPに偽の貸金業登録番号を掲示することで、自社の信頼性をアピールしようとします。
「ファクタリング業者はそもそも貸金業者ではない」と理解していれば、このような手口に引っかかることはないでしょう。

逮捕事例①

2017年1月、東京都内の新型ヤミ金が関西の加工会社社長に対し20万円の融資を行い、金利を含め31万円を受領した。

逮捕事例②

2018年10月~2019年3月にかけて、東京都内の新型ヤミ金が中小企業の経営者5人に対して総額530万円の融資を行い、184万円の金利(法定金利の約10~50倍)を受領した。

逮捕事例③

2016年3月~9月にかけて、東京都内の新型ヤミ金が滋賀県内の経営者2人に対し総額60万円の融資を行い、25万円の金利(法定金利の約40~50倍)を受領した。

上記に挙げた業者はいずれもファクタリング会社や資金コンサルティング会社を名乗って営業を行っていましたが、法的には、「無登録の貸金業者」という判断が下されています。

業者からファクタリングの説明を受ける際に、、「金利」「返済」「担保」といった融資を思わせるキーワードが出てきたら警戒しましょう。

ヤミ金の被害に遭ってしまったときの相談先は?

ヤミ金の被害に遭ってしまったときの相談先は?

ヤミ金の被害に遭ってしまった場合、力になってくれる相談先をいくつか紹介します。

弁護士事務所

弁護士事務所は、ヤミ金との和解交渉や過払い金(払いすぎた金利や損害遅延金)の請求といった法的な手段を用いて、ヤミ金トラブルを解決へと導いてくれます。

費用はかかってしまいますが、ヤミ金から被った損害を取り戻すためには弁護士のサポートが欠かせません。

以下のようなトラブルを抱えている場合は、真っ先に弁護士事務所に相談しましょう。

  • 適正相場よりも大幅に高い手数料(金利)でヤミ金と契約してしまった
  • 金利が膨らみすぎて返済ができなくなってしまった
  • ヤミ金から脅迫的で執拗な取り立てを受けている
  • 取引先が倒産して債権が回収できなくなり、ヤミ金から損害賠償請求を受けた

最近の新型ヤミ金は一筋縄では太刀打ちできないので、ヤミ金トラブルに特化した弁護士事務所を選んで相談することをおすすめします。

ヤミ金トラブルの解決実績が豊富な弁護士に相談すれば、強硬な態度を取るヤミ金との交渉や複雑な法的手続きもスムーズに進むでしょう。
以下より、ヤミ金に強いおすすめの弁護士事務所をいくつか紹介します。

Duelパートナー法律事務所

Duelパートナー法律事務所は、交渉経験豊富な弁護士によるスピーディーな介入により、ヤミ金からの取り立てを最短即日でストップさせてくれます。

電話なら最初の5分間だけ無料で相談できるので、気軽に問い合わせてみましょう。

費用 面談費用:30分5,000円(受任に至った場合は相談料無料)
着手金:50,000円+報酬金
住所 東京都千代田区神田須田町1-2-7 淡路町駅前ビル9階
連絡先 電話番号:0120-539-030
相談受付時間 平日:9時~21時
土日・祝日:10時~19時
対応地域 全国
イストワール法律事務所

イストワール法律事務所は、偽ファクタリング業者・サラ金業者・ソフト闇金など、様々な悪徳業者とのトラブル解決実績を誇っています。

土日・祝日でも夜9時まで年中無休で相談を受付けているので、一刻でも早くトラブルを解決したい人におすすめです。

費用 1件49,000円~98,000円+成功報酬(債権額の18%)
住所 東京都千代田区平河町2-4-13 ノーブルコート平河町403号
連絡先 電話番号:0120-313-216
相談受付時間 9時~21時
対応地域 全国

司法書士事務所

ヤミ金による被害額が少額の場合(過払い金の請求が140万円以下)は、司法書士事務所に相談すると費用を安く抑えることができます。

司法書士は弁護士と比べると法的な権限に制限はありますが、ヤミ金に強い司法事務所であれば対応力で引けを取ることはありません。

ヤミ金トラブルの解決実績が豊富な司法書士事務所を、いくつか紹介します。

ウィズユー司法書士事務所

ウィズユー司法書士事務所は、ヤミ金トラブルを最短1日で解決できるスピード対応に定評があります。

全国から電話(フリーダイヤル)またはメールで無料相談をすることができます。

費用 1件50,000円
住所 大阪府大阪市北区東天満1丁目11-15
若杉グランドビル別館2F
連絡先 電話番号(ヤミ金被害相談窓口):0120-206-041
FAX:06-6356-7444
相談受付時間 24時間
対応地域 全国
アストレックス司法書士事務所

アストレックス司法書士事務所は即日着手と丁寧なアフターフォローを実施しているので、しつこいヤミ金への対応を安心して任せられます。

Web契約や出張面談(交通費は依頼者負担)にも対応していて、全国から気軽に相談できるのもメリットです。

費用 過払い金返還請求:1社1万円+成功報酬(返還額の18%~20%)
特定調停(簡易裁判所への申立て):個別に見積もり
住所 大阪市中央区谷町1-3-18
イディアクロス天満橋ビル4階
連絡先 電話番号:06-6910-1637
相談受付時間 平日:9時~21時
土日:10時~18時
対応地域 全国

警察

ヤミ金から暴力を受けるなど差し迫った事態が起きている場合は、真っ先に110番に電話して警察の出動を要請しましょう。

ヤミ金トラブルが警察沙汰に発展することは最近めっきり少なくなりましたが、執拗な嫌がらせによって生活や仕事に支障をきたすケースは現在でも珍しくありません。

命の危険を感じた場合はもちろんのこと、個人情報を悪用したイタズラ(無言電話や玄関への貼り紙など)が繰り返されたり、勤務先や家族にまで迷惑をかけられたりした場合も、迷わず警察に対処してもらいましょう。

ただし、警察は「民事不介入の原則(個人間の紛争には介入しないこと)」に従い、大元の悩みである借金トラブルについては実効ある対処はしてくれません。

ヤミ金との和解交渉や過払い金請求といった法的措置を取りたい場合は、先述したように弁護士事務所または司法書士事務所へ相談しましょう。

国民生活センターの消費者ホットライン

独立行政法人「国民生活センター(または消費者生活センター)」では、ヤミ金トラブルを含む消費者生活全般の相談・苦情を受付けています。

まずは国民生活センターの消費者ホットライン「188(局番なし)」に電話して、都道府県ごとの消費生活センター(国民生活センターと連携している相談窓口)につないでもらいましょう。

消費生活センターはヤミ金に対して直接的な手段を取ることはできませんが、以下のような支援を行ってくれます。

  • ヤミ金トラブルに強い弁護士や司法書士の紹介
  • ヤミ金から身を守るための対策をアドバイス

消費生活センターの力では対応が限られてしまうので、直接ヤミ金トラブルに対処してもらうには、やはり弁護士・司法書士の力を借りなければなりません。

ヤミ金とファクタリング業者を見分けるチェックポイント

ヤミ金とファクタリング業者を見分けるチェックポイント

資金繰りに焦って冷静な判断ができなくなっている状態では、巧妙に罠を張るヤミ金にいともたやすく騙されてしまうでしょう。

慌ててファクタリング業者との契約に踏み切る前に、しっかりと契約内容を把握して、ヤミ金の特徴に当てはまるところがないか疑う習慣を身につけましょう。

以下に挙げるヤミ金の特徴がひとつでも当てはまる業者とは、絶対に契約しないでください。

契約書を交わさない

契約内容をくまなく理解し、後々の「言った・言わない」のトラブルを回避するためにも、きちんとした体裁の契約書を交わすことは非常に重要です。

契約書すら交わさなかったり、白紙の契約書に捺印を求めたりする業者は信用してはいけません。

契約条件が「ノンリコース(償還請求権なし)」ではない

優良なファクタリング業者は、申込み企業の代わりに債権回収のリスクを負う「ノンリコース」に対応しています。

ノンリコースで契約すると、万が一債権が回収できなくなってしまっても、ファクタリング業者に対して弁済する必要はありません。

一方、悪質なヤミ金は債権が回収できなくなると、契約者に対し莫大な損害金を支払うように要求してきます。
ファクタリング契約を行う前に、契約書面に「ノンリコース」と明記されていることを必ず確認しましょう。

手数料の説明が不親切である

ヤミ金トラブルでよくあるのが、「手数料の説明が分かりづらい」「当初の説明よりも実際の手数料が高すぎる」というような苦情です。
手数料について明瞭な説明を求めても応じてくれない業者との契約は避けましょう。

はじめに納得のいく手数料を明示した上で、手数料の変更はないと確約してくれる業者なら安心です。

HPの会社情報に不審な点がある

ヤミ金がHPを運営している場合は、会社情報に不審な点がないかを必ずチェックしましょう。

会社の住所が実在しない場所であったり、会社情報に不明な箇所が多かったりすると、悪徳業者と見て間違いありません。

ファクタリング業者は貸金業者と違って無登録で営業できるので、公的な情報(登録業者の名簿など)から信頼性を確かめる術がありません。
しかし業者の正体がヤミ金であれば、日本貸金業協会などが提供しているヤミ金データベースに登録されている可能性が高いので、業者の会社情報で検索してみましょう。

現金の受け取り方法に手渡しを指定する

ヤミ金は違法な取引の証拠を残さないために、取引履歴が残る銀行振込みを利用したがりません。
代わりに現金の受け取り方法を手渡しにすることで、万が一警察に通報されても銀行口座情報から足がつかないように対策をしています。

真っ当なファクタリング業者の中にも現金手渡しに対応しているところはありますが、銀行振込みに応じてくれない場合はヤミ金の可能性を疑いましょう。

契約条件に融資を思わせる内容が含まれている

契約の際に担保・保証人を要求したり、「金銭消費貸借証書」という書面で契約を交わそうとしたりする業者には要注意です。
ファクタリングは融資と違って担保・保証人なしでも取引が可能ですが、売掛債権を担保として差し出すのは実質的に担保融資になります。

また、ファクタリング契約の際に交わす正しい書類は「売掛債権売買契約証書」です。
「金銭消費貸借証書」だと借入れ契約になってしまうので、注意して確認しましょう。

店舗での面談に応じてくれない

ヤミ金は取り立ての際に手段を選ばない大胆さがありますが、ファクタリング業者を装っている間はひたすら素性を隠したがります。

ヤミ金は店舗や事務所を所有せずとも、全国を相手にネットや電話で営業が可能なので、会社の実態はないも同然です。
店舗での面談を希望しても絶対に応じてくれないファクタリング業者には注意してください。

審査基準がいい加減である、または審査をしない

「審査なしでもすぐに資金調達ができる」ことを売りに勧誘をする悪徳業者も存在しますが、ファクタリングで審査不要ということはありません。

ファクタリングは融資より審査基準がやさしいのは確かですが、少なくとも売掛先の審査はしっかり行わないと、債権の二重譲渡や債権不渡りといったリスクが生じてしまいます。
ヤミ金の審査がいい加減なのは、「債権が回収できなくなっても、代わりに申込み企業にたっぷりと弁償してもらえばいい」と考えているからに他になりません。